お給料から引かれてる社会保険料、
高すぎるんだけど、なんなのアレ…
確かに社会保険料高いですよね💦
でも、世界に誇れる神制度ばかりなんですよ!
嘘だよ…
何の恩恵にもあずかってないし…
病院行かないですか?
病院に行った時に、本当に有り難い制度ですよ!
会社員の方は、払うべき社会保険料や税金をお給料から天引きされているので、何にどれだけ引かれているか、また、それが自分にどのように役に立つかご存じない方が多いですね💦
この記事では、その中でも、健康保険にスポットを当てて、どんな制度があるのか、どのようにしたら取りこぼし無く恩恵にあずかれるのか…を、できるだけ簡潔に説明しますね。
この記事はこんな人に向いています。
- 健康保険高すぎて納得いかない😡
- 何のために引かれているかわからない
- 払ってるんだから、取り戻す方法を知りたい
- できれば引かれる額を少なくしたい
健康保険とは
健康保険は、その名のとおり「保険」です。
少し乱暴な言い方ですが、収入を得ている社会人であれば強制的に加入させられます💦
病気やけがをしたときに、医者や病院で治療を受けるためのお金を助けてくれる制度です。
皆さんが一番恩恵を受けやすい保険だといえます。
この健康保険は世界に誇れるくらい非常によくできた制度です。
しっかり活用することで、補償内容が重複する保険に個人で加入する必要はありません。
保険の目的
保障内容を簡単にまとめます。
◆被保険者が…
病気や怪我をした時
病気や怪我で働けなくなり給料が出ない時
亡くなった時
出産で会社を休み給料が出ない時
出産したとき
◆被保険者の家族が…
病気や怪我をした時
亡くなった時
出産をした時
上記のような際に、医療給付や手当金などを支給し、生活を安定させるための保障がされます。
保険料
保険料の額は、被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率(一般保険料率+介護保険料率)をかけた額となります。会社と折半です。
毎月のお給料から前月分の保険料が引かれています。
会社が半分持ってくれてるんだね!
保険料を取り戻す機会と方法
1.療養の給付
健康保険の被保険者が業務以外の事由により病気やけがをしたときの治療費が3割の負担で受けることができ、7割が療養の給付として健康保険組合が負担します。
療養の給付の範囲はつぎのとおり。
- 診察
- 薬剤または治療材料の支給
- 処置・手術その他の治療
- 在宅で療養する上での管理、その療養のための世話、その他の看護
- 病院・診療所への入院、その療養のための世話、その他の看護
健康保険を扱っている病院・診療所に『被保険者証』を提示することで、給付を受けることができます。
これのおかげで、3割負担で済んでるのね!
2.入院時食事療養費
入院したときは、食事にかかる費用として1日3食1,380円(1食あたり460円)を自己負担し、標準負担額を超えた分は、入院時食事療養費として健康保険組合から支給されます。
健康保険を扱っている病院・診療所に『被保険者証』を提示することで、給付を受けることができます。
3.入院時生活療養費
65歳以上の高齢者が長期入院などのために「療養病床」に入院する場合は、1日につき370円の居住費(指定難病患者の食費負担額は260円、居住費負担額は0円)を自己負担することになっています。負担額を超える額は、入院時生活療養費として健保組合から支給されます。
健康保険を扱っている病院・診療所に『被保険者証』を提示することで、給付を受けることができます。
4.保険外併用療養費
健康保険では、保険が適用されない保険外診療があると保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が自己負担となりますが、保険外診療を受ける場合でも、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」については、保険診療との併用が認められており、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は一般の保険診療と同様に扱われ、その部分については一部負担金を除き、残りの額は保険外併用療養費として健康保険から給付が行われます。
ちょっとややこしいので、例を挙げます。
総医療費が100万円、うち先進医療に係る費用が20万円だった場合
先進医療に係る費用20万円は、全額を患者が負担します。
通常の治療と共通する部分80万円分は、保険として給付される部分になります。
保険給付分(80万円)のうち3割の24万円が患者の一部負担金、7割の56万円が保険外併用療養費として健康保険制度から給付されます。
上記24万円の負担については、高額療養費制度が適用されます。
健康保険を扱っている病院・診療所に『被保険者証』を提示することで、給付を受けることができます。
少しややこしいですが、基本的には病院の会計に任せておけば大丈夫です。
やたらと高額の場合は、間違ってないか確認しましょう。
5.訪問看護療養費
居宅で療養している人が、かかりつけの医師の指示に基づいて訪問看護ステーションの訪問看護師から療養上の世話や必要な診療の補助を受けた場合、かかった費用の3割の負担で受けることができ、7割が訪問看護療養費として健康保険組合が負担する。
健康保険を扱っている病院・診療所に『被保険者証』を提示することで、給付を受けることができます。
6.療養費
やむを得ない事情で保険診療できないときや、治療のために装具が必要になったときなどは、
かかった医療費の全額を一時立替払いし、後で請求して療養費として払い戻しを受けることができます。
療養費は、支払った医療費が全額払い戻されるわけではなく、保険医療機関で保険診療を受けた場合を基準に計算した額から一部負担金相当額を差し引いた額が払い戻されます。
海外で受けた診療や、コルセット代、治療としての鍼灸などに適用できます。
申請書を記載し、領収書等とともに健康保険組合に提出することで、払い戻しを受けることができます。
海外でも安心して病院にかかれるのね。
7.高額療養費 ←💡重要
医療費が高額になり、ひと月(月初から月末まで)にかかった医療費が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、高額療養費制度によって超えた金額分が支給されます。
かなり重要な制度なので、例を挙げて説明します。
年収約370万円~約770万円の70歳未満の人がケガで入院し、100万円の医療費が発生した場合。
医療費の負担割合は3割のため、窓口での自己負担額は30万円となります。
しかし、自己負担額の上限額は8万7,430円のため、超過分の21万2,570円が返ってきます。
自己負担額上限計算式:8万100円+(100万円-26万7,000円)×1% = 8万7,430円
超過分計算式:30万円-8万7,430円 = 21万2,570円
※ 標準報酬月額や年齢によって上限額は変わりますので、適宜調べてください。
ここまででも十分すごいのですが、この制度がさらにすごいのは、自己負担額は世帯で合算することができ、その合算した額が自己負担限度額を超えた場合は超えた額が払い戻されるところです!!
そして、さらにさらにすごいのが、高額療養費として払い戻しを受けた月数が1年間(直近12ヵ月間)で3月以上あったときは、4月目から自己負担限度額がさらに引き下げられるんです!!
申請書を記載し、領収書等とともに健康保険組合に提出することで、払い戻しを受けることができます。
もし、事前に高額になることがわかっている場合は、限度額適用認定証を申請しておくと、限度額を超える分は窓口で支払わなくてよくなります。
私は月に87,430円以上負担しなくていいんだ!
スゴイ!✨
一時的には負担しないといけないので、
そこは注意が必要です。
予め高額になることがわかっている場合は、
限度額適用認定証を申請して、
最初から負担しなくて良いようにしておくと良いですね。
8.高額介護合算療養費
医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日から始まり翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合に、自己負担額を軽減する制度のことをいいます。
上記7.高額療養費は医療保険のみですが、介護保険分を合算して高額になっても補助するよ~ってことです。
申請をすることによって負担額の一部が払い戻されます。
9.移送費
病気やケガで移動が困難な患者が、必要があって移送された時の費用は、移送費として払い戻されます。
ただし、下記の要件を満たしている必要があります。
✅ 移送の目的である療養が保険診療として適切であること
✅ 療養の原因である病気やケガにより、移動することが著しく困難であったこと
✅ 緊急その他やむを得ないこと
支給される額は、最も経済的な通常の経路および方法によって移送された場合の費用として健保組合が算定した額の10割です。
申請書を記載し、領収書等とともに健康保険組合に提出することで、払い戻しを受けることができます。
10.傷病手当金 ←💡重要
被保険者が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して傷病手当金が支給されます。
ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
かなり重要な制度なので、例を挙げて説明します。
標準月額報酬が30万円の人が、2023/9/1の朝通勤時に怪我をし、その後3ヶ月間働けなかった場合。
9/1(金)通院で有給休暇、9/2~3は土日で会社休み、で、3日間連続の休みとカウントされ、9/4(月)以降のお休み分以降は傷病手当金が支給されます。土日や会社の休日関係なしに、日数分です!
1日当たりの支給額は、支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3) です。
なので、9/4~11/30まで3ヶ月間会社を休んだ場合、6,666円/日を88日分…約58万円が支給されます!!
ただし、下記の場合は金額が調整されます。
・給与の支払いがあった場合
・障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
・老齢退職年金を受けている場合
・労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
・出産手当金を同時に受けられるとき
支給される最大期間は、同傷病で通算1年6ヶ月間です。
申請書を記入し、健康保険組合に提出します。
病気や怪我で、長期で会社休んでも
これがあれば安心だね!
うつや適応障害といった精神疾患でも適用できますので、
あまりにもツラい場合は、無理しないでいただきたいですね。
11.出産育児一時金 ←💡重要
被保険者及びその被扶養者が出産された時に下記の法定給付額が出産育児一時金として支給されます。多胎児を出産したときは、胎児数分だけ支給されます。
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合 … 1児につき50万円
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週未満で出産した場合 … 1児につき48.8万円
産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合 … 1児につき48.8万円
申請書を記入し、健康保険組合に提出します。
赤ちゃん産んだときにもらえるのね!
12.出産手当金 ←💡重要
被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。
出産日は出産の日以前の期間に含まれます。また、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。
1日当たりの支給額は、支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3) です。
なので、標準報酬月額が30万円の人は6,666円/日を98日分…約65万円が支給されます!!
出産のために退職されても、条件を満たしていれば支給されるので、必ず確認しましょう!
申請書を記入し、健康保険組合に提出します。
13.埋葬料
被保険者が業務外の事由により亡くなった場合、埋葬を行う方に埋葬料として5万円が支給されます。被扶養者が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給されます。
申請書を記入し、健康保険組合に提出します。
健康保険料を安くする方法
会社員の方の健康保険料は標準報酬月額がベースになっているので、この標準報酬月額を下げると、保険料が下がります。
標準報酬月額は、4月から6月に支給された標準報酬月額は基本給+各種手当+現物支給すべての額面でランク付けされます。
ですので、3月~5月の残業を減らすと、標準報酬月額が少なくなるので、それに伴い保険料が下がります。
あと、これは会社によりますが、通勤費が毎月支給されている場合は、これも含まれてしまいますので、通勤費が高い方は会社の近くに引っ越すと保険料が安くなります。
ただし、標準報酬月額が下がるということは、取り返す際の金額が減るというデメリットもあります。
おまけ
医療費控除について
医療費控除とは、対象年の1月1日から12月31日までの1年間に一定金額以上の医療費を支払った場合に、確定申告により所得税の還付が受けられる制度です。
対象となるのは支払った医療費が10万円(所得が200万円未満の方は総所得金額の5%)を超えた分です。ただし、保険金などで補填された金額は除外します。
医療費控除と高額療養費制度の併用について
高額療養費制度と医療費控除はどちらも「多額の医療費を支払ったときに使える制度」です。
これらは併用して受けることができます。
ただし、高額療養費申請をして支給された金額は、「保険金などで補填された金額」に当たります。
つまり、併用する場合は高額療養費の支給額を差し引く必要があります。
そのため、併用する場合は次の手順で考える必要があります。
➀高額療養費の申請をする
➁戻ってくる金額が確定する
➂医療費控除の申告を行う
ここで注意が必要なのは、高額療養費の支給タイミングです。
通常、診療月から3カ月以上かかります。
年をまたいで支給された場合も、医療費を支払った年の確定申告で医療費控除の「補填された金額」としてマイナスする必要があります。
その点を踏まえると、12月分の高額療養費申請をした場合、上記手順➁の金額が確定するまで確定申告ができません。
もし、見込みの給付額で確定申告したとしても、実際の額と相違があれば確定申告をやり直す必要があります😱
12月分の高額療養費申請をした場合は期限内での確定申告が難しくなるため、更正の請求などで対応する必要があることも理解しておきましょう。
ちなみに、医療費控除の還付申告は5年間、高額療養費は2年間です。
どちらも自ら申請しなければいけません。
医療費控除の適用範囲
ここまで真面目に読んできた方は、「あれ?高額療養費制度のおかげで医療費を10万円以上支払うようなことは無いんじゃ…」と思ったのではないでしょうか?
もし、そう思った方は、素晴らしいです👏✨ ちゃんと理解されていますね!
でも、高額療養費制度と併用することもあり得るんです。
高額療養費制度は、保険診療内のかかった金額に対して給付が行われます。
それに対して、医療費控除は保険診療外の治療も対象になります。
次のような保険診療外も対象になります。
- 先進医療
- 歯の治療費(保険適用外の費用を含む)
- 子供の歯列矯正費用
- 治療のためのリハビリ/マッサージ費用
- 妊娠と診断されてからの定期検診や検査、通院にかかる費用
- 出産で入院する際、電車やバスなどに乗るのが困難でタクシーを利用した場合のタクシー代
- 出産時、病院に支払う入院中の食事代
簡単に言えば、
保険診療内の10万円を超える医療費は、高額療養費制度で返ってきて、
保険診療外の10万円を超える医療費は、医療費控除を受けられる。
…ってことです。スゴイですよね✨
さらにすごいのは、セルフメディケーション税制といって、市販の医薬品でも世帯合計12,000円以上で控除の対象になることです!
ただし、何でもかんでもOKというわけではなく、対象商品に限られます。対象商品には下図のようなセルフメディケーションのマークが付いています。
こうなると、医療にかかわることは何でもかんでも医療費として計上しちゃえるんじゃないかって思いますが、対象にならないものもあります。
- 美容整形費用
- 健康診断の費用
- 楽をするためのタクシー代
- 自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金
- 治療を受けるために直接必要としない、近視、遠視のための眼鏡、補聴器等の購入費用
- 親族に支払う療養上の世話の対価
- 疾病の予防や健康増進目的の予防接種、サプリメント、漢方薬など
- 親族などから人的役務の提供を受けたことに対し支払う謝礼
- 人間ドックなど健康診断の費用
- 里帰り出産のための実家への交通費
- 自分の都合で利用した差額ベッド代
- 疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものの対価
まぁ…普通に考えたらダメなものばかりですよね😅
まとめ
健康保険は、毎月毎月でっかい金額が引かれていますが、それだけ素晴らしい制度です。
健康であるに越したことはありませんが、取り戻す機会があった時には、ガッツリ取り戻せるよう、この記事の目次くらいはしっかり覚えておきましょう。内容はボンヤリでもかまいません。必要な時に調べれば良いんです。
大事なのは、取りこぼさないことです!
併せて、これ👇は覚えておきましょう!
保険診療内の10万円を超える医療費は、高額療養費制度で返ってきて、
保険診療外の10万円を超える医療費は、医療費控除を受けられる。
これを知っていたら、今入っている民間の保険…無駄なものあるんじゃないですか?
せめて、泣きっ面に蜂にならないようにしたいですね!
同じ公的保険の雇用保険についても解説していますので、併せてご覧ください。